慢性閉塞性肺疾患(COPD)の労作時の息切れに鍼治療が有効

【 COPDの主訴、労作時呼吸困難に鍼治療の有効性が実証 】

 

明治国際医療大学准教授の鈴木雅雄氏が京都大学の三嶋理晃教授、室繁郎・医学研究科講師、などと共同で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の主訴である労作時呼吸困難に対して、鍼治療が有効であることを実証しました。

 鈴木氏らは、労作時の息切れを有するCOPD患者68例を、薬物療法などに鍼治療を加える群(鍼治療群)、プラセボ鍼治療を加える群(プラセボ群)に分けて、12週間の鍼治療を実施。プラセボ群に比較して鍼治療群では、息切れや動脈血酸素飽和度、脈拍などが有意に改善し、QOLの向上も認められた。

 この研究成果は「Archives of Internal Medicine」に掲載され、国内外のメディアでも話題となった。研究の詳細は京都大学のホームページ(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/120523_2.htm)に掲載されています

 

 

鈴木氏が行ったCOPDの鍼灸治療のセミナーの一部を紹介します。

 

 『COPDでは肺が過膨張し、最大の呼吸筋である横隔膜が平らに押し下げられる状態になり、呼吸運動が非常に困難になります。

無理に呼吸をしようとするため、通常は使用しない筋肉も動員しなければなりません。そうすると筋疲労が起こり、エネルギーや酸素を過剰に消費する「燃費の悪い体」になってしまいます。健康成人が呼吸運動に消費するエネルギーは1日36~72kcalであるのに対し、COPD患者さんでは460~720kcalも使っています。さらに、咳嗽でも1回当たり2kcalを消費します。

 また、横隔膜が下がることで胃が引き下げられ、食事をするとお腹が張って横隔膜を圧迫し、息苦しくなります。噴門も引き伸ばされ逆流性食道炎のような症状が出てくるため、人間の楽しみである食事が苦痛になってしまうという点が、COPD患者さんのQOLを下げている大きな原因です。食欲不振から低栄養状態、易感染状態、そして急性増悪引き起こしてしまいます。日本のCOPD患者さんは、BMIが20以下まで低下している人が61%。BMIが20以下の患者さんの4年生存率は20%足らずとも言われ、COPD患者さんの体重減少は大きな問題で、栄養状態の改善は重要な課題なのです。

 では、鍼灸で何ができるのか。肺に関係するツボに加え、足三里、脾兪、中脘など胃腸に関係するツボを入れて、呼吸筋・呼吸補助筋の疲労を取り除き、胃腸の働きをよくすれば、息切れがなくなり、食事も進むと考えたのです。結果は、上腕三頭筋の皮下脂肪厚の上昇、最大呼気筋力・吸気筋力も上昇、BMIの改善、栄養蛋白であるプレアルブミン、トランスフェリンの血中値上昇など。患者さんは「鍼治療を受けると、ご飯が食べやすい」「お腹が張らない」と言っていました。4ポイント下がれば有益といわれるCOPDや喘息のQOL専用評価SGRQが16ポイント減少しました。

 鍼灸も上手に活用すれば、栄養状態改善、予後改善ができるかもしれません。今回は12週間という短い期間でしたが、今後は長期的なスタディに取り組んでいきます。』と述べています。

われわれ鍼灸師も、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さまに鍼が有効と実証していただき非常に喜ばしく思っています。

 

原田鍼灸整骨院でも予約治療を受け付けています。

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